2006年07月27日

動物たちの健康管理をご理解いただくために

犬と猫、そして人はそれぞれ異なる種類の生き物です。
また、同じ哺乳類の仲間でもありますから、共通の特徴があるのも当然です。
したがって、動物を人間と同様に扱うことが適切なこともあれば、人とは明らかに区別し、異なった対処が必要なこともあります。

大切なのは、動物と人間とは、何が同じで、何が異なるのか、正確な知識を身につけることです。

投稿者 jasperah : 23:17 | コメント (0)

食餌について

犬・猫ともにタマネギ・ネギで中毒を起こす、というのは有名な話ですから、みなさんもご存知のことと思います。
一方で、人間はタマネギで中毒を起こすことはありません。
なぜでしょうか?

理由はひとつ。
犬や猫と人間とは異なる種類の生き物ですから、体にとって良いもの、害のあるものは、それぞれ異なる場合がある、ということです。

もうひとつ例を挙げましょう。
ビタミンCが体のために良いと思ってらっしゃる方は多いと思います。
実際にビタミンCが含まれていることを看板に掲げた商品も多く見られます。
ところが、通常の場合、犬猫にはビタミンCを補給する必要はありません。
それどころか、犬猫に限らず、大半の動物はビタミンCの補給を必要としません。
なぜでしょうか?

ほとんどの動物は、自分自身の体内で、ビタミンCを作ることができます。
自分でビタミンCを作ることができないのは、人間やモルモットなど、わずかな動物種のみです。

すなわち、ビタミンC補給を必要とする「少数派」の人間の常識を、ビタミンC補給の必要が無い「多数派」の動物たちに押し付けても無意味だということです。
タマネギやビタミンCの例に限らず、人間の食事・栄養の常識が、犬猫をはじめとする動物達に当てはまらないことがあるのです。

犬と猫、それぞれの適切な食餌内容も異なります。
犬も猫も、本来肉食だった生き物が、雑食化しています。
ただ、その雑食化の程度が異なります。
犬は猫よりも雑食化が進み、食べ物の中の「肉」成分(動物性たんぱく質)は、猫よりもかなり少なくても生きていくことができます。
逆に、猫は動物性たんぱく質を多く必要とするため、例えばドッグフードを猫に与え続けると、支障をきたす恐れがあります。

犬も猫も、最適な栄養バランスがそれぞれ異なります。
ましてや、全く種類の違う生き物である我々人間にとっての「適正な栄養バランス」が、犬猫に最適ではないのは当然です。

投稿者 jasperah : 23:16 | コメント (0)

病気について

循環器、呼吸器、消化器、脳神経、骨格・・・
動物達も人間と同様の体の構造があります。
したがって、発生する病気も、人間と同様のものが少なくありません。
何万種類もの生き物の中の1種類に過ぎない人間の病気が「全て特別」なんてことは有り得ないのです。
ただし、その動物種固有の病気や、発症頻度の違いは確かに存在しますから、全てを人間と同じに考えるわけにもいきません。
正確な知識をもとに、適切な判断をしなくてはいけません。

投稿者 jasperah : 23:15 | コメント (0)

伝染病

多くの感染症(ウイルスや細菌・寄生虫などが原因の病気)は、かかる動物の種類が限られます。
つまり、犬から人、人から犬にうつる病気は限られています。
犬にとって最も危険なのは同じ種類の動物である犬の伝染病であって、人にとって、人の伝染病が危険なのと同じなのは当然です。
もちろん、猫についても同様です。
ただし、「人畜共通感染症」という、人も動物も感染する病気は存在しますし、中には非常に危険な病気もあります。
したがって、素性のわからない動物と濃厚に接触することは避け、動物を触った後の衛生管理には、念のため気をつけておきましょう。

投稿者 jasperah : 23:12 | コメント (0)

アレルギー性疾患について

はじめに

アレルギー性疾患は人間だけでなく、動物たちにも非常に多く見られます。
アレルギー性疾患には、アレルギーの原因となるもの(これをアレルゲンと言います)が必ずあるはずです。
そして、アレルゲンは個人個人により、もしくは個々の動物により、それぞれ異なります。

一方で、「『アレルギーに良い』『アレルギーが起きない』と、お店や友人に勧められたフードを食べているのに改善が見られない」という相談をよくお受けするのも事実です。

繰り返しになりますが、アレルギーの原因は個人個人で異なります。
例えば、お隣のお子さんが卵にアレルギーがあるからといって、自分の子供に卵を食べさせない、ということは有り得ないでしょう?

ところが、動物のことになると、アレルギーの原因をまだ調べていないのにもかかわらず、『○○はアレルギーに良い』『△△がアレルギーの原因だ』などと他人から言われた情報をそのまま信用してしまうことが少なくないようです。

アレルギーの原因が食べ物とは限りません。
花粉、ハウスダスト、ノミ・ダニ…様々な原因が考えられます。
そもそも、その症状は本当にアレルギーなのでしょうか…?

アレルギーであるかどうかを確定するには、似た症状を起こす他の疾病を除外することがまず必要になります。
犬猫の場合、アレルギーは皮膚に症状が現れることが多いのですが、これと似たような症状は、細菌感染、真菌(カビ)感染、ダニやノミの寄生などでも起きることがあります。
これらの可能性を除外した上で、初めてアレルギー性疾患を疑うことができるのです

アレルギー性疾患の治療にあたっての基本的知識・原則

1. アレルギー性疾患であることを確定するために、他の疾病の可能性を除外する
    前出のように、似た症状を起こす他の疾病を除外することが重要です。
    細菌や真菌が原因で皮膚炎が起きているのに、アレルギーの治療をしても、改善は期待できません。

2. アレルギーの原因を調べ、できる限り生活環境から除去する
アレルギーには必ず原因(アレルゲン)があるはず。
可能な限り、原因を追究しなければなりません。
原因を知らなければ、それを取り除くこともできません。
つまり、いつまでたっても症状は改善しないままです。
ただし、原因によっては生活からの除去は困難な場合もあります。

3. アレルギー体質が「治る」可能性は低い。アレルギーはコントロールするものである。
    残念ながら、アレルギーを起こす体質が、簡単な治療や対策で「治る」ことはあまり期待できません。
    特に15~16年の寿命である犬や猫たちが、その一生の間に急激に体質が変化することはほとんどないのです。
    減感作療法など、特殊な治療方法によって改善する可能性はありますが、かなりの費用と手間と時間が必要です。
    アレルゲンを除去することが可能なら、その方がよほど少ない経費でコントロールする、即ちアレルギーが起きにくいように調節することができるはずです。

4. アレルゲンは1種類とは限らない
    1件の患者さんにおいて、複数のアレルゲンが関与していることは全く珍しいことではありません。
    
5. それぞれの原因によるアレルギー反応の『合計』が限界を超えた時にアレルギーは症状として表面化する。
 例えばアレルゲン(アレルギーの原因)が5種類だとしましょう。
それぞれのアレルゲンによるアレルギー反応は小さくても、5種類分の『アレルギーの合計』がある限界を超えていると、ひどいアレルギーとして症状が表面化します。
逆に、たとえ1種類のアレルギーだけでも軽減でき、結果的に『アレルギーの合計』を限界以下にすることができたなら、症状は改善することが期待できるのです。

投稿者 jasperah : 23:11 | コメント (0)